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映画「聖の青春」を見る

 投稿者:ひつじ@ひつじ亭  投稿日:2017年 1月22日(日)13時19分14秒
編集済
  新年のあいさつが遅れました。
本年もよろしくお願いいたします。

--

将棋棋士・村山聖八段(贈九段)が29歳で亡くなったのは、1998年8月8日のことである。
その村山九段の生涯を記録したノンフィクション「聖の青春」を、
連盟機関誌「将棋世界」の編集長だった大崎善生が発表したのが、2000年2月である。
2001年には、すぐに新春スペシャルドラマとなっている。

その「聖の青春」が、2016年になって、構想8年という時間をかけて映画化されることとなった。
生前の村山九段が「いつか倒して名人になる」とあこがれていた若き名人・谷川浩司は、
日本将棋連盟の会長として棋界を代表する立場となり、諸事情によりその職を辞している。

それほどまでの長い時を経ても、「聖の青春」は多くの人に読み継がれてきた。
映画化が実現するまでに相当な時間がかかったが、それも必要な時間だったのだろう。

主演の村山聖役には、松山ケンイチ。
原作を読んで、村山聖を演じたいと熱望していたところ、
ちょうど進行していた映画化の話と歩調があったものであるらしい。
なんと20kgも太って、見かけからも村山本人に似せてきている。

「相手役」の羽生善治役には、東出昌大。
もともと将棋ファンだった東出は、プロ棋士の世界をよく知っているようだ。
羽生本人から譲られたという「当時、使っていたメガネ」をかけ、なかなかの羽生ぶりをみせる。
好きだからこそ、どんな立ち居振る舞いなら羽生らしくなるかを、きちんと心得ている。

ノンフィクションでもなく評伝でもない、あくまでフィクションとして制作されたこの映画では、
村山と対局する「棋士」としての役割は、ほぼ羽生に集約されている。
ともに高みを目指す仲間であるとともに、常に一歩先を進んでいる者として、
どうかすると、村山にとって、もっと知りたい憧れに満ちた存在としてとして描かれる。

それゆえ、終盤に置かれた、2時間以上の長廻しだったという羽生との最後の対局のシーンは、
その対局が粘っこく、体力と気力の限りを尽くしたものであったことを踏まえると、
「棋は対話なり」の言葉を逆手に取ったような、長大なラブシーンにも見えた。
ちなみに、その棋譜は実際に羽生との最終対局だったNHK杯戦決勝を再現しているが、
体調をいとわぬ深夜に及ぶ激闘というエピソードは、順位戦での対丸山戦のものだ。

一方、聖の「青春」の部分を引き受けたのが、先崎九段をモデルにした「荒崎学」で、
酒の席での乱行に同席するような、遊び仲間の無頼な若手棋士を柄本時生が好演する。
ついでにいえば、先崎九段は映画同様、村山の死の報を温泉旅館で聞いている。
ただ、酔いつぶれた村山が嘔吐したのは、佐藤康光九段の新車だ。

先輩棋士・橘正一郎役は、滝誠一郎七段がモデルとされるが、
安田顕は、むしろ真部一男九段を思わせるオシャレな中堅棋士として演じてくれた。
師匠の森信雄七段は実名での登場だが、リリー・フランキーはそっくりの風貌だし、
人情味あふれる師匠ぶりは好演とされるのだろうが、なぜか私的にはしっくりこなかった。
関西的な「緩い感じ」があまり感じられなかったせいだろうか。

それはともかく、映画を観終えてまず感じたのが、感謝だった。
私が最も熱心な「見る将棋ファン」だった時代の鮮烈な記憶として、
棋士・村山聖の登場、鬼気迫るような棋譜と壮絶な死、
多くは大崎善生が明らかにしてくれた、その陰にあった聖の「青春」。

それらを、きちんと映画として、生身の役者を使って描いてくれたことに、
当事者でも何でもないのに、感謝の念でいっぱいになった。
反面、この映画が村山聖を全く知らない人に、どこまで届くのかも気になった。

蛇足ながら、現実の村山聖も少女マンガを深く敬愛していたのだが、
映画の中で村山聖が古本屋で購入していた「いたずらなkiss」の作者・多田かおるもまた、
38歳の若さで夭折した少女マンガ家である。
 
 

三連休のこと

 投稿者:ひつじ@ひつじ亭  投稿日:2016年12月28日(水)20時29分31秒
編集済
  12月23日
たれっち、出発予定日。ところが北海道の鉄道が大荒れの上、飛行機も遅れ気味。
13時発の飛行機がなかなか飛ばない。結局、15時を過ぎて欠航が決定。
部屋を片付けた状態で待機していたが、関空まで迎えにも行けず。
たれ、翌日、午前の伊丹便に予約変更した上で、やっとの思いで自宅に戻る。

12月24日
新千歳空港の飛行機は飛んでいるのだが、今度はJRが動かない。
たれ、午前便を夕方の関空便に変更して、午後ようやく動き出したJRで新千歳へ移動。
疲労が蓄積したたれを気遣って、ご褒美クリスマスケーキを確保。
この時点では、夕食を新千歳で食べるか、関空についてからかという牧歌的な話題をしている。

ところが、午後に入って、飛行機が遅れだす。
30分が1時間になり、1時間は2時間になる。午後6時の便は午後8時発のアナウンス。
関空からのリムジンバスは、午後22時過ぎが最終。鉄道を使っても23時過ぎが限界。
これまでの流れから、さらに遅れることが見て取れたので、
夕刻になって、泉佐野のビジネスホテルを確保。ここなら、24時前まで鉄道がある。

ところが、関空に着くと、まだ飛行機は新千歳を飛んでいない。
午後6時台が午後8時台になり、結局、午後10時台の出発。
到着予定時刻は、なんと午前0時30分。

この間、沖縄から帰ってきた職場の若い人に姿を見られていたらしい。
声をかけづらい雰囲気だったので、遠目に見送ったそうな。
どないやねん。

荷物を引き取ると、時間は25時。
泉佐野ならタクシーもいとわずという読みだったが、まったくタクシー乗り場に車はいない。
あらかじめ空港のインフォメーションで聞いていた番号に電話をして、
ずいぶんと待ったが、ようやくタクシーを確保。ホテルへ入る。

結局、26時ごろにチェックイン。
今年出来たところの「新館」なるものは、2階の渡り廊下を過ぎると、完全にワンルームマンションの作り。
部屋は片側にしかなく、部屋のない側の廊下から手を伸ばすと完全に青天井。

いかにもワンルームマンション的なユニットバスで温もって、あとは寝るのみ。
年寄りだから、朝はきちんと目覚め、滞在時間7時間くらいでチェックアウト。
泉佐野駅前のパン屋で朝食、空港に戻って、リムジンバスに乗って、自宅に戻ると、
もうお昼前。

途中で勝った惣菜で昼食、昨日の夜食べるつもりのケーキをワインで流しこむと、
ようやく安心して、また眠くなる。
二人で爆睡して、夕刻目が覚めたら、もう、三連休は終っていた。

なんでやねん。

さて、明日は大掃除かなあ。
 

真田丸・最終回を見る

 投稿者:ひつじ@ひつじ亭  投稿日:2016年12月23日(金)11時33分56秒
  何が起きるかを、皆が知っている最終回です。

「新選組!」のときにも念入りなフィナーレをやってくれたので、
きっと、何らかのフィナーレをしてくれるだろうとは思っていました。、
また、「望みを捨てなかった者だけに道が開かれる」のセリフを繰り返していたので、
きっと、なんらかの未来につなげるような話にするだろうととは期待していました。
そして、そんな期待にすべて応えてくれるとともに、
最後まで「まさか」という驚きに満ちた「最終回」でした。

有働さんのナレから入るのは。真田丸築城の回でもあったので想定の範囲かもしれません。
しかし、信之が一夜の宿を求めた尼寺に登場したのは、まさかの本多正信です。

決戦前夜の大阪城にたむろしているのは。まさか「ダメ田十勇士」の面々です。
真田十勇士は出さないと宣言していた三谷のエクスキューズであるかのように、
あるいは、本編とは無関係だった真田丸PV「ダメ田十勇士」を惜しむかのように、
三谷は、彼らを本当に大河出演者として配したのでした。

まだ豊臣優位での和睦を探る源次郎は、茶々と面談しますが、
「お上様」の仮面を外した時の茶々は、過呼吸で自分を見失いそうになります。
源次郎は、魔法の言葉「望みを捨てなかった者だけに道が開かれる」を使って鎮めます。

そして、最後の戦い。
思わぬ展開で乱戦になるも、まずは大坂方有利で進むのですが、
なぜかこんなところにも真田隊がいます。

勇ましいだけの信政は、またも判断を誤り多くの犠牲者を出すというあたりが、
「勇ましい豪傑」よりも、それ以前の調略や諜報戦が戦の勝敗を決するのだという、
三谷幸喜の非チャンバラ志向を如実に表しているところです。

とはいえ、源次郎は、
もはや、チャンバラだけで家康と雌雄を決せねばならなところまで追いつめられています。
おかげで、三十郎はまさかの小物扱いをされ、命拾いをしました。
お前は生きよ、というのが源次郎から三十郎への最後のメッセージだったのでしょう。

城に戻った大野治長が兵を動揺させたという史実を、
まさかの千成瓢箪で象徴させるあたりも三谷の上手さです。
しかし、大角が厨に火をかける前に、
間者発覚からの自害のふり、真田謀反の密告というひねりには驚かされました。

それでも出陣しようという秀頼を押し留めたのが、
まさかの茶々の言葉「望みを捨てなかった者だけに道が開かれる」。
なんというか、もう抜群のタイミングでずれてしまっています。

城中での内記の奮戦と、まさかの懐にひそませていた昌幸の位牌。
城に戻ることができたこと自体がまさかな作兵衛の城の中庭の家庭菜園での最期。
作兵衛を便利に使い過ぎている感はありますが、まあいいでしょう。

そして、単騎、家康陣に向かった源次郎に、まさかの「手を出すな」と叫ぶ家康。
「自分を殺しても徳川の世は盤石」と宣言する家康に、「百も承知」と返す源次郎。
やはり、この戦いは豊臣と徳川の天下を分けるものではなく、
むしろ源次郎が背負う真田と徳川の私怨であり、私戦だったように見えてきました。

とはいえ、確かに源次郎は世に名を残すことはできました。
子どもたちも、なんとか無事で暮らしていけそうです。
まして、信之はすっかり徳川家の大名として、新しい時代の人になっています。
さすがに、佐久間象山に期待をつなげるのはやりすぎかとも思いましたが。

というわけで、今回の秀逸は、まさかのナレ死から生き返ったかのような且元でも、
まさかの身体中が痛くなった佐助の55歳という告白でもなく、
千を秀忠陣に贈り届ける途中、単騎家康本陣に向かう源次郎を見つめ、
「源次郎さま」とつぶやくきりの女の顔。
 

真田丸「前夜」を見る

 投稿者:ひつじ@ひつじ亭  投稿日:2016年12月12日(月)20時43分48秒
  すでに、物語は店じまいを始めました。
それでも、香盤では、信之、松、稲、三十郎、茂誠、こう、綱家といった
上田の人たちの名前が源次郎の後に連なり、
史実かどうかは別にして、まだ信之が源次郎を説得しようとしているあたりが、
真田ファミリーらしさです。

時々、三谷は意地と意地がぶつかる「名場面」を巧みに作りだしますが、
信之と信尹が源次郎の調略に訪れた場面も、その一つでしょう。
犬伏の別れでの「いつか酒を酌み交わそう」の言葉を軸にした
「兄上と酒を酌み交わし等ございます」と懇願する源次郎と、
「これは今生の別れではない。」と席を立つ信之の応酬には、
大向こうから声がかかるところといえましょう。

そんなやりとりを前哨戦に、いよいよ夏の陣が始まります。
しかし、城を頼れない野戦となっては、内通者「お」の働きもあってか戦果はあがりません。
眉間を撃ち抜かれたまま立ち往生してしまった塙、
内通の噂に心が乱れ、功を焦った又兵衛、
覚悟を決めて香を焚きしめていた若武者・重成、
次々と、豊臣家を最後まで支えていた者たちが討ち取られます。

生き延びよと命じても離れようとしない立派な家臣たちに恵まれた盛親ですが、
彼らのために長曾我部の家を再興することは断念せざるを得なくなりました。

そして、退却戦の中、源次郎は、追っ手の中に政宗の姿を見て取ると、
「徳川兵の中に、誠の武士はおらぬのか」と声を挙げ、
小田原で無念の思いで豊臣に臣従した時に政宗がやったように、刀で空を切って見せます。

「あなたは、また自分の志を押し殺して強い者の言いなりになってしまうのですか。」
その源次郎の問いかけに、政宗は攻撃を停止することで応えます。
源次郎は、政宗のことを妻子を託すことができるほどに信用がおける相手と見抜いたようです。

そして、ついに離れ離れとなる源次郎ファミリーですが、
きりに対しては、まだ重要な任務があるとして、手元に残します。
それは、今でもきりが源次郎にとって最も信頼の出来る女性だったということの証です。

春らには「これが永遠の別れではない」というタテマエを言っていた源次郎ですが、
きりの「源次郎様のいない世にいても、つまらない」の言葉は否定せず、黙って抱き寄せます。
ドラマとしてはまる一年をかけた、きりとしては何十年越しの思いがようやく通じた瞬間です。
「遅い!」

というわけで、今回の秀逸は、
「必ず、生きて帰ってきて下さいませ」と信之に懇願する稲の涙目でも
こうがこっそり持たせた六文の銭が入った小袋でも、
このために登場したのかと納得した室賀息子に対する信之の「黙れ小童」の一喝でも
源次郎のすべてを認めたような、信尹叔父が片手でそっと触れるような頬っぺたパチパチでも、
気丈な妻となっても、最後の夜だけは源次郎の膝をツンツンしていた春の人差し指でもなく、
ようやく源次郎に抱き寄せられて、口まで吸われているというのに、
「せめて10年前」「あのころが私、一番きれいだったんですから」と言いきるきりの視聴者目線
 

映画評を更新

 投稿者:ひつじ@ひつじ亭  投稿日:2016年12月 7日(水)21時59分40秒
  数年越しで、映画評を更新。
なにやってんだか。
 

真田丸「引鉄」を見る

 投稿者:ひつじ@ひつじ亭  投稿日:2016年12月 7日(水)20時40分18秒
  もしかすると勝てたのかもしれない戦いを和睦し、
もし踏み出せば必ず負けるであろう戦いに、あえて踏み出そうとしている豊臣方です。

もはや、城を頼りに戦えない。野戦なら、多勢に無勢は明らか。
当初の策のように近畿を押えても、城が丸裸の豊臣方に寝返る者はいません。
それゆえ、狙うは家康の首一つ。
それで時代が変わらないことがわかっていても、それしかできそうなことがないのでした。

というわけで、佐助登場。
「もし無事に帰ってきたら、夫婦になってもらえませんか」は、ほぼ死亡フラグ。
佐助の命を救ったのは、きりの明確な拒絶だったのかもしれません。

そして、あまりにも見事に家康を仕留めた佐助ですが、
史実の都合とか、つまらない大人の事情で、実は影武者だったことになってしまいます。
しかし、ここまできれいにやってくれたならば、
もう、半分くらいは、歴史が変わってしまったことにしていいんじゃないか、とさえ思います。

とはいえ、ここからの源次郎の動きが不可解です。
秀頼に大坂を離れるように勧め、四国領有で納得させます。
となると、土佐を求めていた盛親はというと、淡路島で話をつけます。
これは何のため?「私はまだ、あきらめてはおりませぬ」
本気か?

しかし、信之へあてた手紙の淡白で儀礼的な書きぶりと娘を思いやる言葉からは、
かえって、源次郎が死を覚悟していたことを明確に示していたようです。
でも、それをすぐに察する信之は、やはり言わずとも心が通じ合う兄弟なのでしょう。

そして、窮するほどに、大坂城はもめ事が増えます。
母・大蔵卿局を面罵する治長、治長を襲う弟・治房、
治房が金蔵を勝手に開けたことをきっかけに、ついに牢人たちの統制が取れなくなります。
源次郎ら5人衆の力でも牢人たちを抑え込むことができません。
アニキが一喝、「みんな、戦がしてえんだよ。」

また一歩、みんなで力を合わせて滅びの道を進んでいきます。

というわけで、今日の秀逸は、
「う」の署名の有楽斎の密書とは異なる、家康襲撃を知らせた密書の「お」の署名でも、
顔についた泥が労働の証とばかりに、自ら顔ら泥を塗ったお嬢様育ちの春のプライドでもなく、
「敵の本陣になど」と口にした瞬間に源次郎の真意を悟った小山田茂誠の顔の曇り。
 

ようやく、反撃

 投稿者:ひつじ@ひつじ亭  投稿日:2016年11月28日(月)22時41分51秒
  まずは、且元の花道。
でも、あの流れで、家康が茶々の居所を狙わないはずがないことは、
私たちは、上島竜平の「絶対に、押すんじゃないぞ」でよく学んでいます。
それにしても、「狙いが外れた」とも言わない家康は鬼です。

かたや、一転、和睦を命ずる茶々。
身勝手な決断で豊臣家を窮地に追い込んだ点では過去に描かれてきた通りですが、
侍女の死をきっかけに幼女モードになってしまい、
「叱ってください」とまで言わせたのが三谷流でしょう。

和睦の方針に、ざわめく牢人たち。
まさか、用済みで解任というわけではあるまいという不安。
内心不安なのは自分も同じなのに、士気を下げるわけにもいかず、空元気の五人衆です。
又兵衛の「俺に任せとけえ」は、ネプリーグの原田泰造ぐらい軽く、
源次郎の「そのようこと、断じてない」は、政治家の釈明発言のように信用できません。

とはいえ、いざ和睦となると、茶々を人質に出すとか、大坂城を出るとか、
且元が言っていたままの案しか出てきません。
それで良いのなら、なぜ且元を追い出してまで、牢人を集めたのかということになります。
交渉の前段階など記録にも残ってないだろうし、このドラマの中だけの話として考えるなら、
且元の苦し紛れの提案が、実は具体的で良い落としどころだったんだよ、
という三谷からの且元へのはなむけだったのかもしれません。

また、女性どうしの和睦交渉がありえるものなのか、本当にあったのか定かではありませんが、
ずっと家康の横にいて戦の表の話も裏の話も聞いてきた阿茶局にかかれば、
大蔵卿局を転がすことなど、たやすいものです。

もっとも、大蔵卿局とて、はなから賞金稼ぎのような牢人たちを側に置くのは本意ではないし、
徳川をおびやかした牢人たちを雇うための新たな所領などもらえるはずもないとわかっており、
すでに大坂城の蔵の金銀も兵糧も尽きかかっていることを思えば、
ただちに和睦の上、牢人衆を切ることしか豊臣家が生き延びる道はないと思っていたのでしょう。

そして、和睦の約定として壊されていく真田丸を、なすすべもなく見守るしかない源次郎が、
もはや城を出るしかないと決意したところに、牢人衆がやってきます。
真田丸名物、ラスト5分の逆転劇です。

集団劇独特の感動のセリフがいくつか重ねられたのち、秀頼まで姿を見せます。
「私は、まだ(望みを)捨ててはいない。」とまで秀頼は言ってしまいます。
(もともと、「望みを捨てぬものだけに道は開ける」って、いつ、誰が言ってたんでしたっけ。)
思わず、源次郎は、もう一度、戦うことを決意します。

これまで、いくつもの分岐があったはずなのに、
すれ違った一人ひとりの思いが力を合わせるようにして、
豊臣家は大きな滅びに向かって進んでいきます。

というわけで、今日の秀逸は、
「昌幸ほど義に厚い者はいない。信玄公への忠義のためなら何でもした。」と
柄にもない大きな見栄を切った作兵衛でも、
思わぬ流れで信之を「旦那様を心を癒す役目」を稲から公認されることとなったこうでもなく、
健全な青少年を惑わしかねない、「海街diary」以来のリアルなサービスショットのきりのおみ足。
 

それで、砲弾

 投稿者:ひつじ@ひつじ亭  投稿日:2016年11月28日(月)22時40分58秒
  まずは、真田丸による大勝利に酔う大阪城です。

あわてて討って出ようとする秀頼に対し、
源次郎は「ただ勝てばよいというものではない。いかに味方の命を損なわぬか。」と反論します。
源次郎は、兵糧は向こうが先に尽きますると見とおしています。(本当か?)

期せずして、徳川方の本多正信も同じ言葉を発しており、
三谷は、けっして派手で勇ましく血なまぐさい場面ばかりが戦いの本質ではないと、
大河ファンのみならず、古今東西の軍を指揮する立場の人たちに向けて主張しているようです。

3つに分けて鬨の声を挙げよという戦術も合理的な判断なら、
きりの「本当に攻めていくときは、あんな呑気な声は出しません。」という判断も冷静。
「元気づけよ」との命に、塙が遠吠えをして返すあたりは、まだまだ大坂方もゆとりがあります。

一方、真田ファミリーも健在です。
スルメ食ってた平野長泰の「柄にもない」情熱にうたれたか、自ら届けようとする信之ですが、
稲の制止、出浦の制止を振り切ってからの「なんなんだ。これは」攻撃と
その後の稲とこうの仲睦ましい「なんなんだ」ほどきには、綿密な打ち合わせがうかがわれます。
なつかしの信尹も登場しますが、家康の真意を見切っていて、
はなから源次郎を調略する意図は見えません。

そして、ここへ来て物語の焦点は、茶々の方に移っていきます。
秀頼が無事でさえいればそれで十分、という点だけは揺るぎないようですが、
妹の初(まだ大坂にいたの)は、茶々が大坂城が焼け落ちるのを待っているかのように見える、
といいます。

そんな茶々に(きりがやきもきしつつも)一人呼ばれた源次郎は、
有楽斎・大蔵卿局が推す和睦を覆すよう説得します。
「秀頼と源次郎さえ居れば」といいつつ手を取る茶々に、仕方なく源次郎は手を添えます。
しかし、「味方の士気にかかわります」という理由はどうなんだろう。
一気に、実は源次郎が秀頼の父なんじゃないのか疑惑が大きくもたげてしまうところです。

というところへ、徳川方から最新型のエゲレスの砲弾が撃ち込まれる。
被害にあった侍女を目にした茶々は、秀頼の母である大坂城の誠の主ではけっしてなく、
心の奥底に大坂城が焼け落ちるのを望んでいた破滅願望の浅井の姫ではなく、
愛した人々が次々と亡くなっていくことの恐怖に心を閉ざす、幼女のような茶々に見えます。

ということで、今回の秀逸は、
「どんなに無茶に見えても先を見据えていた」と昌幸を語る、
むしろ無茶を買って出ていたはずの出浦の「御家大事」発言でも、
由美かおるの入浴シーンばりのサービスショットのような本町口での源次郎らの活躍でも、
危険な役目を果たした大助のことを、「少しも嬉しくありません」といいつつ嬉しそうな春でもなく、
それに続く、「大助は、まだ、これから先が長いのですから」という春の言葉の重さ。
 

次、完封

 投稿者:ひつじ@ひつじ亭  投稿日:2016年11月28日(月)22時40分18秒
  いよいよ、大坂冬の陣です。
小さな小競り合いでは多勢に無勢、城の外に置いた砦は次々と落とされます。

そんな折、他の5人衆に指示をしているのは源次郎だったりします。
太閤桐の紋を背にしているあたりも、豊臣家を背負っているようで印象的です。
その背景には、源次郎が秀吉の側近であり、茶々とも話ができる関係であることがありそうです。
いわば、「真田信繁が秀吉の馬廻衆だった」という史実から出発して、
三谷はここまで想像を膨らませてきたたということです。

そして、豊臣方の不利を承知で、福島正則や平野長泰が兵糧の提供を信之に提案します。
こいつらまでいい人にしてしまうのか、という三谷の念入りさに頭が下がりますが、
こんな形で「信之どうでしょう」的な展開を持ってくるとは思いもよりませんでした。
黙ってやればよいものをと思いつつ、正直に話してくれた信之に、稲の思いも複雑です。
信之は、真田藩が絶え、家臣が路頭に迷ってもよいと言ってるのに等しいのです。
先回りして、こうが密かに蕎麦の量を見極めていたのもお見事です。
でも、千人で3ヶ月分は、十万人なら一日なのだけれど。

一方、きりは、源次郎と春の愛のある会話に思わず物陰に隠れますが、
このような、都合の良く展開せずバツが悪くなったという演技は初期の室賀以来であり、
きりの中の人である長澤まさみに対する三谷の信頼がうかがわれるところです。
それどころか、きりは茶々の目に留まり、侍女として働くよう命じられます。
茶々が秀吉のピラピラした鎧で武装したついでに、きりも鎧を着ているのを見ると、
もはや、鞍馬天狗になった「新選組!」の捨助以上の大活躍が期待されます。

後半は、真田丸をめぐる戦いになります。
関ケ原はもとより、第2次上田合戦でも消化不良だったので、
第一次上田合戦以来の本格的な野戦のシーンといえましょう。

「高砂や~」からの挑発は、息子・大助に受け継がれます。
内記も、作兵衛も、久方ぶりの戦場にイキイキとしています。
策の源次郎、槍の又兵衛、鉄砲の勝永、祈りの全登、いい人の盛親と、
5人衆も、皆、自分らしい役回りで戦っています。

源次郎の見事な戦いぶりに、家康は歯噛みし、景勝は目を見張り感動します。
感服する重成に、源次郎はこんな大がかりな戦が初めてと告白しますが、
実は、昌幸父ちゃんだって、第一次上田合戦のような戦は初めてだったようにも思います。

大勝利に勝鬨が上がります。
でも、もしかすると、真田丸で源次郎の策が功を奏し、
大勝利に酔うような幸せな時間は、今回が最初で最後であるのかもしれません。

ということで、今回の秀逸は、
源次郎が軍議の最後にさらりと言った「おのおのぬかりなく」でも、
大助の初陣を讃える源次郎が、やっぱりやった「ほっぺたパンパン」でも、
実は、本格的な戦いは初めてと聞いた重成が思わずやってしまった二度見でもなく、
源次郎の戦いぶりに、景勝が本気で徳川を裏切りやしないかと気がかりであるとともに、
いくぶんかは、それを期待している直江の愛の視線。
 

ずっと貼るの忘れてたし。まずは築城

 投稿者:ひつじ@ひつじ亭  投稿日:2016年11月28日(月)22時39分32秒
  いきなりの有働さんのナレーションに驚かされました。
「真田丸」完成記念とはいえ、禁断のオープニング倒置ですが、
阿国(二代目)やお通といった思いもよらぬ人物の再活用を隠す効果もあったように思います。

史実でも、大坂城の南に出城を築くというのは、又兵衛が先に発案していたようですが、
さすが「真田丸」の又兵衛、源次郎の策の深さに出城を作る権利をさっと譲ります。
これも、5人で天守閣を眺めるほどに信頼しあった効果でしょう。
いつのまにか、牢人たちの軍議は、源次郎が仕切っています。

先週と同様、豊臣家首脳たちの牢人不信から、
重苦しくうんざりするようなやり取りが繰り返されますが、
いよいよ勝永と又兵衛が豊臣を見捨ててしまおうかという時になって、
覚醒した秀頼による逆転裁定によって、ぎりぎりのところで関係が修復されることとなります。

この時も、又兵衛や勝永は勝手に城を去るのではなく、
源次郎を誘いに来るいうあたりにも、5人の友情を感じさせます。

密かに、大坂城から家康に文が届きます。
大坂方が籠城と決まって「これで勝った」とし、
急ごしらえの出城の主が源次郎と聞いて、「また真田か」とあわてる。
この家康の見立てが、「真田丸」の大坂の陣に対する基本デザインのようです。

今のところ、誰が家康に文を送ったのかわかりませんが、
真田丸の築城も許されず、牢人たちが活躍することがなければ、
実は、この物語の中の秀頼の運命も変わっていたのかもしれません。
あるいは、早すぎる秀忠の到着も、家康の構想を曲げてしまった可能性がありそうです。

とはいえ、徳川方も、老体の家康や正信でなければ「仕寄せ」の作り方もわからないほどです。
今年の大坂の陣なら、豊臣方が勝ってしまうかもしれません。
エンディングのオープニングでは、地響きからして違っていましたから。

というわけで、今回の秀逸は、
源次郎に報告する前に、先に内記に報告していたことがわかる内記と佐助の目配せでも、
武闘派であるだけでは跡取りにはふさわしくないことが明らかになった信政の一本気さでも、
気落ちした景勝以上に辛そうな、直江のあらゆる意思表示を放棄したような死んだ目でもなく、
お通が焚いた香の残り香から、信之の密会を瞬時に見抜いた稲の正妻力。
 

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